大麻入りクッキーで懲戒処分|スイーツの甘くない罠
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2021年9月28日

大麻入りクッキーで懲戒処分|スイーツの甘くない罠

大麻といえば、タバコのように紙で巻きとるジョイント、もしくはパイプに乗せて吸引するスタイルがイメージにあるでしょう。しかし、それはあくまでも大麻が身近ではない日本特有のイメージかもしれません。
実は合法化されている国では、オイルや化粧品等多くのバリエーションが存在し、特にエディブルと呼ばれる大麻食品が最も人気ということをご存じでしょうか。
今回は可愛らしい見た目とは裏腹に、多数の逮捕者を出している大麻入りクッキーについて解説してきます。

乾燥大麻より陶酔効果(トリップ)が高い

乾燥大麻よりトリップ効果が高い大麻入りクッキー

大麻入りクッキーは一見すると普通の見た目をしていることから、素人には判断がつかないことも多く、大麻の有効成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)や、シンボルである緑の十字架等が表記されていなければ、税関検査すらくぐり抜けてしまう危険性を持っています。

そのため、何も知らず海外土産として親族や友人に配ってしまうという事例も過去には存在しています。実際、2019年3月には東京都荒川区で米国に旅行した70才の男性が知らずにお土産として持ち帰り、複数名が呼吸困難や手足の痺れ、バッドトリップなどに陥ってしまったこともありました。男性は大麻取締法違反容疑で書類送検されています。

また、特に注意したいのはその効用の強さでしょう。

煙で吸引するよりも持続性が高く、即効性もないことから短時間で食べすぎてしまう方も少なくないとされています。

ちなみにそういった食品大麻をエディブルと呼称しますが、現在はケーキやグミ、チョコレートにブラウニーといった様々な種類が流通しているため、いつどんな時に手に取ってしまうかも未知数といえるでしょう。

日本においては全くといって良いほどに馴染みのない文化であるだけに、正しい知識と適切な危機管理が必要となっています。

大麻入りクッキーとは

大麻入りクッキー

ここではまず、大麻入りクッキーの基本知識について確認していきましょう。

実際のところ独特の臭いがあることから、違和感はゼロではありません。

しかし、それに気がつけるかどうかはまた別の話となるため、しっかり知識を身につけることが重要です。

起源は数千年前に遡る

大麻入り食品であるエディブルの起源は、数千年前のインドまで遡るとされており、ヒンズー教の祭事において瞑想を深めるための道具として活用されていた歴史があります。

そして、1950年にレシピ本が発売されたことで現代市場においての知名度が一気に高まり、通常の食品に大麻を混ぜ込む、あるいは乗せる等してオーブンで焼く方法がスタンダードだったようです。

見た目や味の違いは

一見すると通常の食品と遜色ないとはいっても、大麻独特の香りや緑色が強い外見は隠し通せることもなく、詳しい方が見れば一瞬でその違いが分かるものとなっています。

したがって、知らずのうちに食べてしまった、という方は本当に知識がないか、あえて知らないフリをして誤魔化している可能性もゼロではないかもしれません。

ちなみに大麻入りクッキーは、本体を割るとホウレンソウが混ざっているようなビジュアルであるため、海外でいかがわしいものを渡された際はしっかり中身までチェックするのがおすすめです。

なぜ効きすぎてしまうのか

大麻入りクッキーの危険性を知る上では、効きすぎてしまう理由を押さえておく必要があるでしょう。

まず、乾燥大麻を吸引すると、肺の血管を経由して有効成分であるTHCが脳のカンナビノイド受容体に到達し、比較的早い段階で陶酔状態(いわゆるトリップ状態)となります。

一方、クッキー状にすると胃で消化されてから、腸で吸収、そして肝臓で分解されてから脳に作用するため、身体的な工程の問題で陶酔状態までにタイムラグが発生してしまうのです。

そのため、健全な製品と同じペースで食べてしまう可能性があり、後になって強烈な陶酔状態の波に飲まれてしまう方も少なくありません。

また、煙と食品ではTHCの種類が異なるポイントにも注意が必要です。

たとえば、乾燥大麻を紙に巻いて吸引するジョイントでは、A9-THCという成分が作用することになりますが、大麻入りクッキーは肝臓で分解される過程で11-Hydroxy THCに変化する特徴があり、通常よりも強い身体的作用をもたらすとされています。

したがって、興味本位などで過剰摂取してしまった初心者は特に呼吸困難やバッドトリップを引き起こしてしまうケースが多く、そういった場合は疑心暗鬼やパニック、嫌な思い出のフラッシュバックに苦しむことになることも多いようです。

大麻入りクッキーが招いた懲戒処分とは

大麻入りクッキーが招いた懲戒処分事例

ここからは、大麻入りクッキーを食べてしまった、あるいは配ったばかりに処分を受けた事例をいくつか解説ていきます。

見た目では気がつかずとも「知らなかった」という理由は通用しないため、しっかり押さえておきましょう。

大学院生が懲戒処分

2018年12月、大麻入りクッキーを購入して食べた上に、他の学生に配った大学院生が1年間の停学処分を受けています。

実際のところこの事例は確信犯の可能性が高いため、ある意味で自業自得といわざるを得ないでしょう。

学校はもちろん、社会的信用までも失う結果となっています。

大麻クッキーの製造と販売で画家が逮捕

2020年11月、大麻クッキーの製造販売、そしてレシピを公開していた画家が逮捕されています。

また、同氏は職務質問を受けた際に0.4gの乾燥大麻を所持していた現場を押さえられていることから、ある程度早い段階から警察にマークされていた可能性もあるでしょう。

大麻クッキーと知らずに配布

2019年3月、社交ダンスのイベントで何も知らずに持ってきた海外のお土産であるチョコレートが大麻入りだったことが判明し、男性が書類送検となっています。男性がそのチョコレートを友人に配ったことで、50~80代の友人ら7名が呼吸困難や手足のしびれを訴えた模様です。

同氏は完全に合法化されている米・コロラド州で、友人からもらったものを善意で配ってしまったため、重罪には及んでいませんが、食べたメンバーの中には高齢者も含まれていたため、一歩間違えれば大惨事になっていたかもしれません。

大麻入りクッキーで注意したいこと

大麻入りクッキーの注意すべきポイント

現代においては、いつ大麻入りクッキーを口にしてしまうか分からないため、適切な対処方法や見分け方を身につけておくのがおすすめです。

特に海外渡航の多い方は、以下を参考にしていきましょう。

臭いと中身をチェックする

実際のところ店舗で販売しているものには、THCの表記や独特なシンボルマークが記されているため、比較的簡単に見分けることが可能です。

しかし、ハンドメイドらしきパッケージや街中で売りつけられたクッキーに関してはその限りではなく、一見すると通常の製品との違いはほとんどないことから、まずは臭い、そして中身を割ってホウレンソウのような植物が入っていないかを確認する必要があるでしょう。

ちなみに味に関しても大麻特有の土臭い風味がありますが、一度食べてしまうと必然的にTHCを摂取することになるため、気づいた時点で食べるのを止めることをオススメいたします。

バッドトリップを引き起こした際は

もしも気づかず、誤って大麻やTHC入りクッキーを食べてしまった場合は、以下のような症状を伴うバッドトリップを引き起こしてしまう可能性があります。

  • 強い吐き気
  • 熱くないにも関わらず異常に汗をかく
  • 周囲の人物が自分の悪口をいっているような疑心暗鬼
  • 過去の嫌な思い出の明瞭なフラッシュバック

これらに陥った際はまず水分を補給して、はちみつ等を摂取して血糖値を上げましょう。

あるいは、THCを相殺する効果を持つCBD(カンナビジオール)を摂取するのがおすすめです。

医療用に活用される国もあるが

大麻入りクッキーは強い鎮痛作用も持っていることから、実は医療用途として利用している国も存在しています。
ただし、その場合は陶酔効果を最大限に抑えた品種を使用しつつ、分量も適切に調整しているため、売人が取り扱うものとは当然異なる質を備えています。

そのため、例え売人に「大麻クッキーは病院でも処方されてるから大丈夫」といった文句を言われても、鵜呑みにして購入してはいけません。

海外旅行ではエディブルの種類に要注意

合法化されている国で入手しやすい大麻エディブル製品

海外で流通しているエディブルと呼ばれる大麻食品には、その他にも様々な種類があるため、事前に把握してある程度疑いを持てるような知識を身につけておきましょう。

  • チョコレート
  • ブラウニー
  • グミ
  • コーヒー等の飲料
  • ケーキ

もちろん、全てにTHCが含まれているわけではありませんが、もし旅行先のクラブやバー、路地裏等で売りつけられた場合は、絶対に購入しないようにするのがおすすめです。

また、何かを食べていて違和感を感じたらすぐに食べるのをやめましょう。
もしも万が一、知らずに摂取してしまった方は、本記事の対処法を参考に適切な処置を行うようにしましょう。