シバガスは効果の前に吸引リスクを知るべし!指定薬物の危険性
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2021年10月1日

シバガスは効果の前に吸引リスクを知るべし!指定薬物の危険性

日本においては、健康面における危険性の高い成分を指定薬物として厳しく取り締まっており、所持はおろか入手しただけでも罰則を受けることになります。
一方、同じく厚労省の規制下に置かれている、シバガスというドラッグをご存じでしょうか。
今回は、海外で死亡事故にも発展しているシバガスのリスクを解説します。
数年前までは笑気ガスとして活用されていた成分の知られざる一面を見ていきましょう。

シバガスの効果は侮れない

シバガスの効果と吸引リスク

非合法ドラッグであるシバガスの実態は、亜酸化窒素という無色透明な気体であり、つい数年前までは日本でも笑気ガスとして歯科治療等で用いられていました。

そして、その名の通り吸引すると強烈な陶酔感を味わうことが可能であり、多幸感や恐怖心の減退、酩酊状態に陥るとされています。

一方、その効果時間は連続供給しない限り数秒程度であることから、覚せい剤やMDMAといったハードドラッグよりも実際の危険度は低いといえるでしょう。

ただし、海外では酸欠による死亡事故や亜急性連合性脊髄変性症*を発症して半身不随となってしまった事例もあるため、軽い気持ちで手をだして良い製品ではありません。

ちなみに亜酸化窒素を利用したシバガスを所持、あるいは購入した場合、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金(併科される可能性も有)に処されることになります。

*亜急性連合性脊髄変性症とは、ビタミンB12の欠乏によって神経伝達が阻害されることにより、手足の痺れや不随症状が発生する。

シバガスとは

海外発祥のドラッグ「シバガス」とは

ここからはまず、シバガスの基本的な知識や効果について解説します。

現在日本では一般市場に出回ることはありませんが、通常製品のように偽装している業者も存在しているため、身を守るためにしっかり押さえておきましょう。

シバガスの概要

シバガス(SIVA GUS)とは海外発祥のドラッグであり、平成28年に指定薬物として規制される以前は通常の製品として販売されていました。

また、内容物の9割以上を占めている亜酸化窒素という気体は、歯科治療等で笑気ガスとして用いられていたことから、過去吸引したことがあるという方も少なくはないでしょう。

ちなみに現在においても規制されていない国ではスーパー等で購入できますが、なるべく手をださないようにするのがおすすめです。

亜酸化窒素について

亜酸化窒素とは、農業用の肥料に利用される硝酸アンモニウムを融解させて発生する気体であり、200年以上前にイギリスで開発されました。

ちなみに流通当初は医療目的でなくお酒の場で楽しむための嗜好品であったことから、現在の規制内容とはあべこべの状態ともいえるでしょう。

また、亜酸化窒素の用途は以下の通り幅広く、乱用さえされなければ大変有用性の高い成分となっています。

  • ロケットエンジンの燃料、及び推進剤
  • レースカーに搭載されている内燃機関のブースト
  • ホイップクリームを生成するためのガス

一方、空気中に放出すると遥か上空まで到達して、オゾン層を破壊する性質も持っているため、以前から環境保全の観点において問題視はされていたようです。

シバガスの効果

シバガスは吸引することで多幸感と筋肉の弛緩、そして笑いが止まらなくなる状態となりますが、持続時間は数秒程度とされています。

一方、医療製品のような調整が行われていないガスを供給し続けると、強烈過ぎる効果によって呼吸器系に異常を来す恐れがあり、酸欠や呼吸困難を引き起こす可能性もあるでしょう。

ドラッグとしてのシバガス

シバガスは現在指定薬物であることから、一般市場はもちろん医療現場でも使用されることはありません。

しかし、法規制を掻い潜るために「自転車タイヤのパンク修理用ガス」と謳って販売しているケースが散見されており、未だ身近に潜むドラッグの1つに挙げられています。

ただし、ほとんどの場合は違法ドラッグ然とした毒々しいデザインのラベルが張られているため、判別自体は比較的容易いといえるでしょう。

シバガスの事例

シバガスによる半身不随や死亡事故

ここからは、シバガスを吸引して発生した過去の事例を見ていきましょう。

実際のところ大麻やマジックマッシュルームのような強い効果は見受けられませんが、海外では死亡した方も存在しているため、しっかり押さえて下さい。

半身不随

シバガスを吸引したことで脊髄の神経伝達経路に異常を来し、半身不随を患ってしまった事例が確認されています。

たとえ効果は数秒でもその代償は一生となる可能性もあるため、決して軽い気持ちで使わないようにしましょう。

死亡事故

シバガスには笑いが止まらなくなる作用があることから、呼吸器系に重大な負担をかける可能性があります。

実際のところ海外では呼吸困難に陥り、命を落としてしまった方もいるため、リスクを認識するためにも覚えておきましょう。

また、「複数で楽しめば誰かが気付く」という認識も大変危険です。

なぜならガスを吸っている最中は全員が正常な判断すらままならない状態であり、息ができなくて苦しんでいる方を見ても「お腹を抱えて笑っている人」程度にしか感じないでしょう。

そのため、仮に慣れている方に誘われたとしても、絶対に誘いを受けてはいけません。

シバガスの注意点

シバガスの注意点

ここからは、シバガスの注意点について見ていきましょう。

日本では既に流通自体が断たれていますが、身近に潜んでいる可能性はゼロではありませんので、自己防衛のために是非参考にして下さい。

自転車タイヤを修理する際は注意

シバガスはロードバイク等のパンク修理用ガスに偽装して販売されているケースもあるため、修理を行う際は必ず信頼のおける業者から購入するようにしましょう。

また、本来の製品は小ぶりなボンベの中にCO2が充填されており、たとえ吸引しても目立った症状は現れませんので、念のため把握しておいて下さい。

海外で風船を渡された場合は捨てましょう

嘘のような話ですが、アジアでは「笑気ガス風船屋台」を経営していたグループが逮捕された事例もあります。

そのため、海外旅行の際に繁華街の裏路地等で突然膨らんだ状態の風船を売りつけられた場合は拒否するかすぐに捨てるようにしましょう。

タイ・バンコクのカオサン通りで11日、“笑気ガス風船”の屋台経営者ら9人が逮捕された。
警察とともに摘発に動いたタイ食品・医薬品局の担当者は「本来は歯科医での麻酔など医療目的に使われるもの。所持や販売には許可が必要」と逮捕理由を説明。最高で懲役5年か罰金1万バーツ(約3万5000円)、またはその両方が科されることになるという。

引用元:excite news(東南アジア各地で蔓延している危険な「笑気ガス風船」)

火の勢いを助長させる

シバガスの成分である亜酸化窒素自体は可燃性ではありませんが、火の勢いを助長させる効果は持っています。

そのため、海外旅行の際に身近に置いてある場合は、火の元をしっかり確認して安全に廃棄するようにしましょう。

シバガスの効果はリスクが伴う

シバガス効果に伴うリスク

シバガスの実態はつい数年前まで笑気ガスとして利用されていた亜酸化窒素であることから、吸引すれば強い多幸感や脱力感、そしてどんな些細な出来事でも笑えてしまう効果が味わえるでしょう。

ただし、日本においては指定薬物とされていることから、所持や購入には重い罰則が設けられており、海外では乱用した結果死亡事故にまで発展したこともあります。

そのため、決して安易に使用するべきではなく、たとえ身近な人物に勧められても絶対に取り合わないようにしましょう。

また、本記事ではシバガスの巧みな偽装販売についても触れているため、自身の身を守るためにも是非参考にして下さい。